骨盤・骨盤底筋が痛くなる根本的な原因

という方向けに何が原因なのかを説明します。

慢性的な痛みとは？

痛みとは、ネガティブな刺激に対する脳の反応のことです。適応的なものと不適応的なものがあります。

たとえば、キッチンで料理中にゆびに火がついたとします。その瞬間、ゆびから痛みの信号が脳に送られます。

脳はその信号を検知して手を引っこめるように指示をだします。これが適応的な反応です。

最初のやけどの後、何ヶ月も痛みが続くようであればそれは不適応です。やけどはなくなったのにまだ痛い。こういうのが慢性的な痛みです。

なぜ骨盤の痛みを感じるのか？

骨盤の痛みも、脳が関係しています。

骨盤底筋は、骨盤におさまっている筋肉です。排泄やオーガズムのときにうごきます。

この筋肉は、骨盤臓器を守る番犬のような存在です。筋肉に異常があったら緊張とけいれんでその存在を知らせるために吠えます。

脳は番犬が吠えたのを聞いて異常を検知します。

「わたしの番犬が吠えている、その部分を知る必要がある、だから痛みを与えよう」と。

つまり、脳が、骨盤底に「脅威」があると認識することで痛みを感じるようになります。

骨盤底筋が硬くて痛む理由

骨盤底筋が硬いというのは筋痛症です。筋痛症は、全身の強い痛みや緊張を感じる脳の機能障害です。

筋肉の痛みは、脳が下のほうでどれだけの緊張と圧力にさらされているかを感じて起こります。

緊張にさらされているというのは、骨盤底が「ヤバい！ヤバい！」とあたふたした状態です。

わかりやすくいうと骨盤底が自律神経失調症を起こしているわけです。

骨盤底の自律神経のバランスが崩れると、血流が悪くなり炎症が起きます。

さまざまな部位が緊張し、可動域を十分に確保できなくなるため、痛みがでるようになります。

痛み方がバラバラな理由

痛みがあちこちにでるのは、体がうまく補正してくれるからです。

骨盤底筋は、負荷に合わせて働きすぎたり働かなかったりします。そうすると、骨盤まわりに筋肉の節（ふし）ができます。

節ができると、その部分の血流が悪くなります。筋組織に必要な血流や酸素が不足し、筋肉が自己修復できなくなります。

この痛くなる節目は「トリガーポイント」といいます。

臀部（でんぶ）など、押されて痛く感じるところは典型的なトリガーポイントです。

骨盤底には筋膜、神経、血管など、たくさんの組織があるため、トリガーポイントができると痛みがひろがります。

手のひらや親指が一日中痛くならないのは、結び目が大きくほぐす必要がないからです。

痛みを引き起こす原因を知りたい方はこちら

トリガーポイント療法で完治しない理由

トリガーポイントが痛みの正体なら、それをなくせばいいと考えます。しかし、言葉だけにとらわれると対処法を誤ります。

イギリスの理学療法士Jilly Bondさんによると、

• トリガーポイントは、何が起こっているかの原因ではなく、システムがその領域で脅威にさらされていると感じている症状
• トリガーポイントは存在しないが、骨盤底に痛みと緊張があるという現象は存在する

• トリガーポイントに対処するときは、患者が痛みを感じない程度に力を加え、脳に脅威を感じさせなくすること

※参考動画：What are trigger points in the pelvic floor and why are they important?

といいます。

自分のトリガーポイントを押すと気持ちよく感じますが、それと同時にその筋肉を再び傷つけてしまうことになります。

脳がその場所に脅威があると考えてしまいトリガーポイントが復活します。だから、それを置き換えるための適切な治療が必要なのです。

なぜ骨盤底治療で痛みがなくなるのか？

骨盤底の痛みを治療するというのは、一点に集中した筋肉の緊張を分散させるということです。

脳は、神経の発火を過剰に感じとっています。それをおさえるには、脳が潜在的な脅威として解釈しないようにする必要があります。

骨盤底治療を行うと、神経まわりの血流が改善されます。酸素が行きわたり、長い間そこにあった慢性的な炎症を洗い流すことができます。

脳は、過剰な神経活動が低下したのを「もっとリラックスしていいんだ」という合図と受けとります。

骨盤底がリラックスした状態になることで、脳は脅威に対する認識を変え、痛みや脅威を表現しなくなります。

骨盤底の特定の場所を押すことで痛みがなくなるのではなく、ただそこにあるだけで痛みがなくなるのです。

まとめ

あなたのからだはバラバラにうごくのではなく、オーケストラのように全体の交響曲として動きます。

根本的な痛みをを改善するためには、全体像を見て対処する必要があります。

整骨院や泌尿器科にいったり、薬を飲んでも治らないのは、その場限りの対処だからです。

重要なことはホリスティック（体系的）にアプローチすることです。

今、全世界でホリスティック医学が注目をあびているのは、人間全体を見て健康の向上をめざす最先端の医療だからです。

痛みを改善する方法はこちら